オリオンビール大好き@orioです。
前回のメルマガで、クラウド選定のポイントお話を致しましたが、今回は、ビジネス向けクラウドサービスを提供する主要3社(Google、Amazon、Microsoft)から、各社のサービスを並べて比較し、性能面、機能面、運用・保守、費用の4つの括りから各社サービスの特徴を比較しながら説明致します。
性能面からの比較
まず、性能面での比較から見ていきましょう。
こちらの表をご覧ください。
(1)SLAからの3社比較
SLAとは、Service Level Agreementの略でサービスの稼働実績や、もしも稼働率が一定基準を下回った場合の補償などが定義されており、サービスの信頼性を測る指標として用いられています。
ところで、「稼働率」とはなんでしょうか。
ある一定期間の稼働率=(全時間-システム停止時間)/全時間 なお、ここでいう「システム停止時間」はシステムが停止してから復旧するまでの時間の合計となります。つまり「故障回数が少ない」または「故障から復旧するまでの時間が短い」と高い稼働率となります。
どこの値を取るか、稼働率であれば、どの部分の稼働率をSLA対象とするかは、各社のサービスによってまちまちになっています。
代表例として、Amazonの仮想マシンEC2のSLAの定義を下記表に記載します。
それぞれサービスコミットメントの目標値と、それが守れなかった場合のサービスクレジット(割引)の割合が定義されています。
SLAから比較で、GoogleのGCE、AmazonのEC2は、SLAのサービスコミットメントの目標値が99.95%以上とされており、2社横並びの状況となっております。
また、MicrosoftのVirtal MachinesはSLAの保証はサービス契約の内容によりSLAの目標値が違います。
詳しくは、こちらのURLの「SLAの詳細」をご覧下さい。
https://azure.microsoft.com/ja-jp/support/legal/sla/virtual-machines/v1_6/
(2)仮想マシン起動時間からの比較
起動命令からsshサポートが開くまでの時間を計測して3社の比較をした結果です。
GCPが一番早いことが分かります。
(3)スパイク対応
スパイクとは、 瞬間的に発生する大量トラフィックのことです。
スパイクが発生する例としては、Yahooトップにバナー出稿されることで大量のユーザがアクセスしてくるときなどです。
GCEは起動時間の速さやロードバランサの機能からもスパイク対応に優れていることがわります。
(4)ネットワークI/O
クラウドコンピューティングでは、リージョンという言葉があり、リージョンとは、リソースを実行できる特定の地理的な場所です。
ネットワークI/Oはリージョン間のネットワークの入出力のことをいい、
GCEではリージョン間にまたがって高速で処理をしており、最低インスタンスでも2Gbps程度のネットワークが提供されています。
機能面からの比較
次に機能面での比較を見ていきましょう。
こちらの表をご覧ください。
(1)ネットワーク
・ロードバランサ
ロードバランサとは、外部ネットワークからのリクエストを複数のサーバーに割り振ることで負荷を分散(ロードバランシング)させるための装置のことです。
各社ロードバランサを用意してますが、Googleのロードバランサの性能は突出しています。
・オートスケール
オートスケールとは、サーバー負荷に応じて、自動的にクラウドサーバーの台数を増減させる機能のことで、スパイク対応で機能します。
各社オートスケールを用意してますが、Googleのオートスケールの性能は突出しています。
・固定IPの持続性
3社とも特に差はありませんが、Amazon EC2では、VMの再起動時にIPアドレスを自動に振り分けられるが、Elastic IPsを利用すれば、固定IPを割り振られます。
・VPN、DNS
3社とも用意してあり、DNSは3社のサービス名が異なるだけで、特に差がありません。
(2)DB
・RDB
Googleの Cloud SQLはMySQLのみサポートしています。
他にはOracle、SQLServerなど有償DBもサポートしています。
・NoSQL
3社とも用意してあり、NoSQLは3社のサービス名が異なるだけで、特に差がありません。
(3)OS
各社概ね一般的なものをサポートしています。
運用面・保守面での比較
次に、サポート体制が整えられているか、運用・保守面での比較を見ていきましょう。
こちらの表をご覧下さい。
(1)ネットワークサポート
GCPは、商用製品のサポートで現状実績が少ないです。
(2)サポートプラン
各社、一般的な電話やメールのサポート体制が準備できれています。
Google GCPサポートサービス: https://cloud.google.com/support/?hl=ja
Amazon AWSサポートサービス: https://aws.amazon.com/jp/premiumsupport/signup/
Microsoft Azureサポートサービス: https://azure.microsoft.com/ja-jp/support/options/
(3)ドキュメントの対応
GCPでもドキュメントの日本語対応が増えているが、2社に比べると少ないです
費用面での比較
最後に費用面での比較を見ていきましょう。
こちらの表をご覧ください。
(1)課金単位
EC2も分単位にそのうち分単位課金に移行するといわれており、3社の差はなくなる想定です。
(2)ディスカウント率
Googleは一カ月単位で自動で割引が適用されています。
EC2で率が大きい前払い期間に応じて割引になります。
(3)料金体系の分かり易さ
Googleは料金体系に前払い・予約オプションを設けていない為、非常にシンプルです。
まとめ
クラウドサービス3社の比較結果をまとめます。
性能面では、GoogleがGCEの処理速度の速さから優勢、機能面では、3社ほぼ互角、運用・保守ではGCPが商用製品のサポートの実績が少ないことと、ドキュメントの日本語化に遅れをとっていることからやや劣勢、費用面では、Amazonのみ時間単位課金、Googleは料金体系に前払い・予約オプションを設けてない為、料金体系がシンプルということ分かりました。
選定の指標を性能面、機能面、運用・保守、費用のどれかにおくことで、クラウドサービスを選定する上での判断基準になればなと思います。