エンジニアとして働いていると、ある時ふと気づきます。
「技術力だけじゃ足りないな」と。
もちろんコードが書けることは大前提。エンジニアですからね。
でも、プロジェクトがうまく進むかどうか、周りと気持ちよく働けるかどうかは、意外と“コミュニケーション”にかかっていることが多いのです。
とはいえ、例えば参画間もない人と、長らくプロジェクトに携わっている中堅どころでは、要求されるコミュニケーションのタイプは異なってくるでしょう。
そのため、仮に若手と中堅で分類し、それぞれの立場で大切になるのではないかと感じるポイントを3つずつ紹介してみようと思います。
あくまで私の主観であるので、そうじゃないなと思うポイントがあるかもしれませんが、暫しお付き合いください。
🔰 若手エンジニアに求められる(かもしれない)3つのコミュニケーション力
1. 不明点を率直に質問する力
まだ現場での人間関係が熟成されていない時期は特に感じることですが、「こんなこと聞いていいのかな…」と不安になりますよね。でも、分からないまま進めてしまうと、あとで大きな修正が待っていることもあります。
質問力は、業務の正確性とスピードを左右する重要なスキルです。分からないことを見つけて整理し、相手に聞くことができれば、作業の効率も格段に上がります。
伸ばし方:自分なりに調べたうえで「ここまでは分かりましたが、ここから先が不明です」と整理して質問する習慣をつけるといいかもしれません。ただ単純に「教えてください」というだけでは、相手も何が分からなくて、何を伝えたらいいのかで困ってしまうでしょう。もし回答を「この方法と、この方法ではどちらが適切だと思いますか?」のように選択式にしてみるのもアリかもしれませんね。
2. 指示や要件を正しく理解する力
依頼を受けたとき、ただ言われた通りに動くだけではミスや手戻りが発生しやすくなります。
要件を正しく理解することは、効率的に作業を進め、期待通りの成果を出すための基礎です。不安があるならば、自分の言葉で言い換えて確認することで、認識のズレを減らせます。
伸ばし方: 「頂いた指示は、こういう理解で合っていますか?」と、自分の言葉で言い換えてみるのが良いかと思います。議事録やメモを共有する際に、ただの記録ではなく、自分自身の言葉でまとめセクションを作ってみるのも、理解を確実にする方法でしょう。
3. 基本的な報連相(報告・連絡・相談)
進捗や問題を共有せずに進めると、後々のトラブルや不安につながります。
報連相は信頼関係の土台であり、問題の早期発見やチームの連携をスムーズにする鍵です。日常的に小さなことでも共有する習慣を持つことで、周囲から頼りにされる存在になります。
伸ばし方: 1日の終わりに「今日やったこと・困っていること・明日やること」をまとめてみるとよいかもしれません。日報・週報などを提出する環境があればそこでシェアするとよいですし、ない場合には自ら提出を申し出てみるのもコミュニケーションにつながるので良いかと思います。こういった小さな情報発信の積み重ねが、信頼を作っていくので試してみては如何でしょうか。
🏗️ 中堅エンジニアに求められる(かもしれない)3つのコミュニケーション力
1. 技術的な内容を分かりやすく説明する力
経験を積むと、後輩や非エンジニアへの説明機会が増えます。専門用語だけで説明しても伝わらないことが多く、相手の理解度に合わせて言葉を選ぶことが重要です。
分かりやすく説明する力は、チーム内の信頼を高め、プロジェクトの進行をスムーズにします。
伸ばし方: 「この業務を知らない人に説明するとしたらどう言うか?」を意識してみましょう。特に安易に略語を使っていることはありませんか? その略語が、部署の違いで通じないことも結構あります。また実際の説明後に「ここまでで分かりにくい点はありますか?」と確認する習慣も有効です。
2. 建設的にフィードバックする力
レビューや議論で、単に「ダメ」と指摘するだけではチームは前に進みません。中堅には、改善に導くフィードバックが求められます。相手を否定するだけでは前に進まないです。より良い改善策を示すことで、チームの生産性と信頼が向上します。
伸ばし方: 「事実 → 改善提案 → メリット」の順で伝えると効果的です。 例:「この変数名は短いので分かりにくい → 具体的な名前にすると読みやすくなる → チーム全体で理解が早くなる」
また強い言葉で否定することは、相手が頑なになりやすい、もしくは互いに感情的になって話し合いが混迷する場合も多々あります。あくまでも冷静に言葉を選ぶこと。そして、相手も「自身がよかれと思って提案した」内容であることを尊重することを忘れずに、一方的に切り捨てたりすることのないように気を付けてみましょう。
3. 調整・合意形成の力
プロジェクトが進むにつれ、異なる意見が出る場面が増えます。中堅は、各意見を整理して最適な落としどころを見つける役割を担います。調整力はチーム全体の成果に直結し、信頼されるエンジニアになるための必須スキルです。
伸ばし方: 各案のメリット・デメリットを整理して可視化し、「優先度を考えると、この案が現実的です」と提案してみるのは如何でしょうか。話し合いの時は、議事録を残すことで合意形成を確実にします。
Google meetだとAIが自動で記録を残してくれるのが便利ですが、あくまでも機械的な議事録です。それをもとに、自身の意見もプラスしたまとめをシェアすることで、意見のまとめ役のしての知見をアップしていければよいのではないでしょうか。
この辺はとにかく経験の積み重ねに左右されるところが大きいです。先にも触れましたが、意見を一方的に切り捨てるのは避け、参加者への敬意と意見の尊重は、常に意識していきましょう。
まとめ
若手のうちは「聞く・理解する・共有する」、中堅になると「伝える・改善する・調整する」へと役割が変わります。
エンジニアの成長とは、単に技術力が上がることだけでなく、チームで成果を出せるコミュニケーション力が育つことでもあります。日々のやり取りの中で意識的に取り組んでみることで、着実に力が伸びていきます。
今回のまとめが、少しでも役に立てば幸いです。